痛い場所を追う前に、
痛みが変わる場所を探します。
MasterKeyは、同じ動作を比べながら原因候補を絞る評価法です。
肩の痛みが出る場所と、肩の負担が変わる入口は、必ずしも同じとは限りません。百会・アトラス周辺とアームラインを手がかりに、一つ触れ、同じ動きを確かめ、どの働きかけで痛みや動作が変わるのかを確認します。
MasterKeyは万能な治療点ではありません。「ここが原因」と決めつける前に、身体が反応する場所を比較し、施術候補を絞るための評価段階です。
3ロックで地図をつくり、
MasterKeyで反応を確かめる。
3ロックとMasterKeyは、同じ役割ではありません。
3ロックは、頭側・中心・足元から身体の全体像を見る観察フレームです。MasterKeyは、その地図をもとに、どこへ働きかけると現在の痛みや動作が変わるのかを比較する評価法です。
Head・Pelvic・Footから、負担の集まり方や動きの受け渡しを観察する。
候補となる場所へ触れ、同じ動作で痛み・可動域・力の入り方を比較する。
3ロックは「どこを見落とさないか」の地図。MasterKeyは「どこへ触れると変化するか」を確かめる方法です。
探しているのは、
押すと痛い場所だけではありません。
押して痛い場所、硬い場所、見た目に左右差がある場所。それらは大切な情報ですが、それだけで現在の痛みの原因とは判断できません。
MasterKeyでは、日常で困っている動作を基準にして、候補となる場所へ穏やかに触れた前後で何が変わるかを見ます。
痛み
同じ動作で、痛む場所や強さがどう変わるか。
可動域
腕や首が、無理なく動かせる範囲に変化があるか。
力の入り方
肩をすくめず、腕や体幹へ力を伝えられるか。
代償動作
首を傾ける、腰を反るなどの逃げ方が減るか。
その場で動作が変わっても、そこだけが唯一の原因とは限りません。身体の支え方、警戒、痛みの感じ方、動作の工夫など、複数の要素が重なって変化することがあるため、反応が出た場所を「原因候補」「負担が集まる候補」として扱います。
MasterKeyで確認する、
2つのスイッチ。
ここでいうスイッチは、押せば身体が治る特別な点ではありません。身体の反応を比べるために、最初に確認する入口を分かりやすく表した言葉です。
アトラス
第1スイッチ|百会・アトラス周辺
頭頂部の百会周辺と、頭を支える第一頸椎・アトラス周辺を、身体反応を確認する共通の入口として使います。
百会は東洋医学で用いられる経穴名、アトラスは第一頸椎を指します。ただし、百会を押せば全身が整う、アトラスを矯正すれば肩が改善すると断定するものではありません。
- 腕を上げたときの痛み
- 背中へ手を回す動作
- 首・肩の力の入り方
- 呼吸や重心の変化
LINE
第2スイッチ|アームラインのリリース
肩甲帯から上腕、前腕、手へ続くラインを確認し、腕全体のどこへ働きかけると現在の肩の動作が変わるのかを探します。
腕を上げる、背中へ手を回す、服を着脱する動作は、肩関節だけで完結しません。肩甲骨、脇、上腕、前腕、手まで含め、動きと力の受け渡しを見ます。
候補へ一つずつ触れ、同じ動作で比較します。変化が出ない場所は施術候補から外し、別の仮説へ進みます。
一つ触れる。
ひとつ確かめる。
MasterKeyの中心は、複雑な技術名ではありません。施術前と同じ条件をできるだけ保ちながら、一つの働きかけごとに反応を比べることです。
理論へ身体を当てはめるのではなく、身体の反応によって理論を確かめます。
たとえば、背中へ手を回すと痛い場合。
ブラジャーの着脱、エプロンのひもを結ぶ、背中をかくなど、腕を後ろへ回す動作がつらいとします。
MasterKeyでは、痛い肩をすぐに強くほぐす前に、動作の基準をそろえて反応を比べます。
一つの動作を、条件を変えながら確認します。
動作が変わることは、施術候補を考える重要な情報です。ただし、組織の状態や炎症、生活で繰り返す負担まで解決したことを意味するものではありません。
強く押せたかではなく、
身体がどう変わったかを見る。
強い刺激がすべて悪いという意味ではありません。ただ、痛みに耐えることが目的になると、元の症状と施術刺激を区別しにくくなります。
刺激の強さが基準になると
- 痛みに耐えることが目的になりやすい
- 身体へ余計な力が入りやすい
- 元の症状と施術後の痛みを区別しにくい
- 何が有効だったか分かりにくい
身体の反応を基準にすると
- 痛みを増やさない範囲で比較できる
- 変化した場所を施術候補として絞れる
- 変わらなければ仮説を修正できる
- 刺激量を身体に合わせて調整できる
その場の変化だけでなく、
戻り方までが評価です。
施術直後に腕が上がった、痛みが軽くなった。それだけで判断を終えません。日常生活へ戻ったあと、変化がどの程度保たれたかも次の見立てに使います。
施術候補が違う、刺激量が合っていない、身体のセンターラインを見る必要がある、日常動作や回復条件の影響が大きいなど、複数の可能性を考え直します。
セルフケアも、
効いた気がするだけで選ばない。
肩の休憩室では、セルフケアも施術と同じように、行う前後と翌日の反応を見ます。
行う前
痛み、動かせる範囲、身体の力みを確認。
行っている最中
痛みやしびれを我慢していないか確認。
行った直後
同じ動作で、変化があるかを比較。
翌日
反動や悪化がなく、身体に合っているか確認。
必要なのは、頑張った量ではありません。自分の身体に合った刺激を、自分でも見分けられることです。
MasterKeyで、
すべての痛みを説明できるわけではありません。
炎症が強い、組織の損傷が大きい、神経症状がある、医療機関での検査や治療を優先すべきなど、手技による評価や施術が適さない場合があります。
変化が出ないときに、「身体が悪すぎる」「もっと強く押せばいい」とは考えません。見立てが違う可能性、施術の適応ではない可能性、医療で確認すべき状態を考え直します。
医療機関を優先してほしい主な症状
- 急激に強くなった痛み
- 胸の痛みや息苦しさ
- 強いしびれや急な筋力低下
- 発熱や腫れを伴う痛み
- 転倒・事故後の強い症状
- 突然の激しい頭痛
- 意識・言葉・視界の異常
- 安静時にも急速に悪化する痛み
MasterKey、第1スイッチ、第2スイッチは、肩の休憩室が施術の考え方を共有するために用いている独自の表現です。医学的な診断名や、効果が確立された治療法の名称ではありません。
ここから先は、
目的に合わせて進めます。
MasterKeyの考え方が分かれば、すべての理論記事を読んでから予約する必要はありません。施術の流れや料金を確認し、予約前に質問していただいて大丈夫です。
一方、その場で変わった動きを身体全体で支える考え方まで知りたい方は、MasterKeyPlusへ進んでください。
まとめ|MasterKeyは、原因を決めつける前の比較です。
痛い場所を片っ端から施術するのではなく、現在困っている動作を基準に、どの働きかけで何が変わるかを一つずつ確認します。
変化が出た場所は原因候補として残し、変化がなければ別の仮説へ進みます。
一つ触れる。ひとつ確かめる。理論ではなく、身体の反応を基準にする。
